実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『大学の若旦那』(清水宏)[C1933-11]

モーニングショーのあとは、『蜂の巣の子供たち』[C1948-13]と『大学の若旦那』の二本立て。『蜂の巣の子供たち』は観ているのでパスして(観てもいいのだが、ごはんも食べないといけないからね)、東急本店のタント・タントで昼ごはん。それからシネマヴェーラ渋谷に戻って『大学の若旦那』を観る。サイレント・サウンド版で英語字幕付きだったが、画面いっぱいに書かれているサイレントの日本語字幕の下半分くらいに英語字幕が入っていて、日本語字幕がよく読めなかった。英語字幕を入れる余地がないのならば、たとえば字幕の画面ではなくて、本来その台詞が言われるべきところに入れるとか、なんとか工夫してくれないと困る。

大学のラグビー選手である若旦那を主人公にした、軽いタッチの楽しい映画。退部させられたお気楽なバカ旦那はますます素行が悪くなるが、いろいろあって改心して最後の試合で活躍するというお話。清水宏の場合、シリアスな映画だとクライマックスで道徳的に盛り上がってしまうことが多くてイヤなのだが、これはそんなでもない。全体がシリアスではないということもあるが、サイレントなので、道徳的な台詞があっても登場人物が叫んだりしないのがいいのかもしれない。

主人公が藤井貢というのが全然萌えないのだが、ほかの出演者は豪華。番頭が徳大寺伸で、着物姿がすごくかっこいいし、藤井貢の妹の女学生は水久保澄子。大旦那であるお父さんは、若旦那はロクでもないので、徳大寺伸と水久保澄子を結婚させて店を継がせたいと考えている。私もお父さんの意見に賛成だが、どうもそうはならないようだ。三井秀男は先輩にこき使われるフレッシュマンで、いい役。日守新一は全然笑わせてくれず、がっかりさせておいて最後の試合でノビてくれた。ちゃんと実況で「ノビてしまいました」と言ってくれるので、ごく一部で大ウケ。突貫小僧もご出演。

藤井貢は、元慶應ラグビー選手らしい。体型と試合での活躍は納得。となるとA大は慶應なのか、とも思ったが、大山健二をはじめ誰一人慶應には見えない。やはりA大とB大は、早稲田と明治なんだろうか。