実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『街のあかり(Laitakaupungin valot)』(Aki Kaurismaki)[C2006-32]

『大学の若旦那』[C1933-11]が終わって15分後、下の階のユーロスペースアキ・カウリスマキ(Aki Kaurismaki)の新作『街のあかり』(公式/映画生活/goo映画)を観る。カウリスマキも、私が観る数少ない西洋人監督の一人だ。

街のあかりがとてもきれいねヨコハマ、ブルーライトヨコハマ♪という歌のイメージとは全然違って、孤独な夜勤ガードマンのコイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)が、ギャングのボスの綿貫氏(イルッカ・コイヴラ)に見込まれて、イジメぬかれるお話。持たざる者はどこまでも収奪される、今の日本のような世界だ。カウリスマキ的空気感に包まれてはいても、かなり暗いお話。コイスティネンは敗者というよりも、「俺のルール」で生きている人のように見える。ボスはそれさえも利用して、さらなる収奪をしようとしている。だからソーセージ屋の女性(マリア・ヘイスカネン)から手を差し伸べられても、それは別の次元の話で、救いにはならないような気がする。そもそも彼女からの救いの手は、結局最後までずっと、一方的に差し出されるままに終わっているように思うのだが。

『浮き雲』[C1996-40](asin:B000065VTT)、『白い花びら』[C1998-38](asin:B000065VTU)、『過去のない男[C2002-20](asin:B00008IXGB)と、最近のカウリスマキはずっとお気に入りだったけれど、これはちょっとそこまで行かなかったかも。主演のヤンネ・フーティアイネンは、なかなかいい雰囲気だったのだけれど。

今週もとんかつ、と思ったが、なぜかあまりおなかがすいていないので、魯肉飯を食べて帰る。値上がりしていたのがショックだ。