実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『宇宙人王さんとの遭遇(L'arrivo di Wang)』(Antonio e Marco Manetti)[C2011-50]

シアターN渋谷で、アントニオ&マルコ・マネッティ兄弟監督の『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』(公式)を観る。

  • 中国語を話す宇宙人・王さんは、ウルトラキュートでスーパークールな、愛すべきイカ野郎だった。結末を知ったあとでさえ、王さんの拷問シーンを思い出すと切なくならずにはいられない(あれは芝居でほんとうはヘイキだったのかもしれないけれども)。王さんには『魅せられて』をやってほしかったな(ジュディ・オングのね)。
  • 表層的にみると、「平和ボケ」とか「徴兵制」とかいった言葉がお好きな方々が「そらみたことか」と言いそうな内容なので、ちょっと受け容れがたい。しかし、最初からもっと友好的に接していたら、王さんたちの気持ちを変えることができたかもしれないので、やはり表面的に受け取って「そらみたことか」と言うのは間違っている。
  • 人を信用するのに、見た目の美醜や類似性、および共通の言語がいかに大きな比重を占めるかを表していて興味深い。
  • 中国人が出てこないイタリア映画なのに、半分近い台詞が中国語なのは素敵だが、ガイア(フランチェスカ・クティカ)の中国語は、声調をはじめとしてかなりひどかった。
  • 王さんが中国語を話すことで、中国人に対する不信感を表そうとしているのかどうかわからないけれど、見た目は温厚で礼儀正しいが、心の中では何を考えているかわからないというのは、どちらかといえば中国人より日本人に近いのではないかと思った。ただし、日本人にはこれほどうまく騙しおおせることはできそうになく、それをやり遂げそうなのはやはり中国人かも。