『中華電影データブック』が先週の水曜日に届いて、巻頭コラムを読んだり、「日本上陸中国語圏映画全リスト」の観た映画にチェックしたり「中華電影作品録」にあるものに線を引いたり(こういうヒマな作業が好きすぎて困る)、作品録の記述をパラパラと読んだり。
- 作者: 石子順他,稲見公仁子(監修),暉峻創三(総合監修),水野衛子(監修),水田菜穂(監修)
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2010/01/27
- メディア: 単行本
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- いちばん気になるのは、「キネマ旬報映画データベース」(LINK)との関係。いまのところ全く別物のようだが、こんな分厚い紙の本をいちいち取り出して調べたりするのは面倒なので、統合して電子的に見られるようにしてほしいし、定常的にメンテナンスしてほしい。
- 作品録の作品の選択は監修者や執筆者に依存するので、あれこれ言ってもしかたがないと思うけれども、中国映画のドキュメンタリー軽視ぶりはあまりにもひどいと思う。だって『水没の前に』も『最後の木こりたち』も『鉄西区』も『鳳鳴 - 中国の記憶』も『サバイバル・ソング』も『長江にいきる - 秉愛の物語』もない。そればかりか、人名録に王兵(ワン・ビン)も于廣義(ユー・グァンイー)もないというのは、データブックとしての存在意義が疑われる。大作映画を除けば、いまの中国映画で最も元気なのはドキュメンタリーだと思うのだが。
- 「これも取り上げてほしかった」というのを挙げたらキリがないのでやめるが、ないのがどうしても納得いかないもの:台湾では『海辺の一日』(楊徳昌(エドワード・ヤン)を落とすとは)、香港では『ホールド・ユー・タイト』と『香港ノクターン』、シンガポールでは『ミーポック・マン』。
- 作品録の説明は、執筆者によって内容もスタイルも異なるが、全体的に細かいあらすじが書かれているものが多い。あらすじなんて映画を観ればわかるのだから、ざっくりしたものでいいのでは(日本語字幕のないDVDを観たときには役に立つかもしれないが)。それよりも、知らなければわからない時代的、社会的、政治的背景や、映画史的な位置づけなどをもっと書いてほしい。せっかくその国に詳しい人が書いているのだから。
- 「日本上陸中国語圏映画全リスト」に抜けているもの。賈樟柯(ジャ・ジャンクー)の『東(Dong)』、『無用』、『私たちの十年』、『河の上の愛情』。蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)の『歩道橋』(付録は対象外?)。『萬世流芳』。中平康の『猟人』。
- 「※関連作品」についてはどの程度まで取り上げる方針なのかわからないが、とりあえず『珈琲時光』とか『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』は入れてほしい。あと、『それぞれのシネマ』とか『ウェルカム・トゥ・サンパウロ』とか『10ミニッツ・オールダー』とか『AFTER WAR』とか『三人三色』とかの国際オムニバス系はほとんど全滅。さらには『空気人形』とか『春の雪』とか『リミッツ・オブ・コントロール』とかは入れないのかな。