東京フィルメックス7本めは、有楽町朝日ホールで朱文(チュウ・ウェン)監督の『トーマス、マオ』(FILMeX紹介ページ)。コンペティション作品。
画家の毛焔(マオ・イェン)とそのモデルであるThomas Rohldewaldを起用した映画。主要な部分は、マオが経営する内モンゴルの民宿もどきに、英語しかしゃべれないトーマスが泊まりにくる、という話。言葉が通じないためにおかしなやりとりが繰り広げられるが、そんなにおもしろいとも思わず。ただ、マオの中国語が湖南方言だかなんだかでめちゃくちゃなまっているため、トーマスが中国語ができてもやっぱり話は通じないのではないかと思われる点がおもしろかった。
このパートには、ふたりには見えていないと思われる男女のカンフーの立ち回りや宇宙人襲来のシーンが挿入されている。
終盤は、画家のマオと中国語をしゃべるトーマスが登場し、実際のふたりが紹介される。このパートはドキュメンタリーかと思いきや、マオと同郷の男が出てきて騒いだりして、そういうわけでもなさそう。毛焔がトーマスをモデルに描いた絵は、ぐにゃっとした感じがちょっとエゴン・シーレを思わせて、なかなか悪くない。なんかドキッとさせられる絵だが、ふたりはゲイではないらしい。
いろいろな要素がつまった映画だが、そこから何かを読み取るには情報が少なく、また積極的に読み取りたいと思うほど、わたしの感性には訴えかけてこなかった、というのが正直なところ。
上映後、朱文監督とカンフーシーンに出ていた女優の金子(ジンズー)をゲストにQ&Aが行われたが、今日は何かと忙しいのでパス。そのレポートはこちら(LINK)。