TOHOシネマズ 六本木ヒルズで、張榮吉(チャン・ロンジー*)監督の『光にふれる』(東京国際映画祭)を観る。第25回東京国際映画祭・アジアの風部門「アジア中東パノラマ」の一本。
- 家庭環境などからダンスの道を諦めようとしている小潔(張榕容)が、チャンスを得るために障害を利用することをかたくなに拒むピアノ専攻の学生・裕翔(黃裕翔)と知り合って交流を深めるうちに、お互いに夢に向かって一歩を踏み出す、というお話。
- ていねいにつくられた良心的な映画だが、特にそれ以上のものでもないという印象。もちろんメッセージを声高に謳いあげるようなタイプの映画ではないが、前向きなメッセージが比較的ストレートに伝わるところに素直に感動できない。台北と釜山で観客賞を受賞しているというのが納得できる映画。
- クライマックスの、小潔のオーディションと裕翔のコンテストが並行して描かれるシーンで、これまでのシーンから抜粋した回想ショットが挿入されているのがいただけない。結果発表などのシーンがなく、後日談のなかでさりげなく出てくるところは好感がもてるが。
- 音楽もつけ過ぎで、盲目のピアニスト・黃裕翔(ホアン・ユィシアン/ホアン・ユーシアン*)が弾いているピアノがいまひとつ引き立たない。挿入歌等はいいとしても、劇伴が多すぎる。
- 大人っぽくなった張榕容(サンドリーナ・ピンナ)の魅力は十分堪能できる。ダンスシーンでひたすら上半身だけ写すところはちょっと苦笑。