新文芸坐の特集「緊急追悼上映 巨匠 テオ・アンゲロプロス」で、『アレクサンダー大王』を観る。20年ぶり二度め。前回は、夕方観に行って池袋を歩いた記憶はあるのに、映画の内容は全く憶えていなかった。
テオ・アンゲロプロス全集 DVD-BOX III (霧の中の風景/蜂の旅人/アレクサンダー大王)
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2004/09/18
- メディア: DVD
- 購入: 3人 クリック: 36回
- この商品を含むブログ (48件) を見る
ただ、そのような点に注目しすぎるといささか面白味がない。アレクサンダーの妻と(アレクサンダーとは血のつながりのない)娘、あるいはアレクサンダー大王と小アレクサンダーが同化し、同じ運命が受け継がれていくところが興味深い。これも、次の世代へと引き継がれつつ繰り返されていくことで、歴史の普遍性みたいなものを描いているのかもしれないけれど、そうするとちょっと図式的すぎ、それよりも彼らの関係の生々しさのほうが印象に残る。癲癇持ちのカリスマというのも、何かの象徴なのかどうかわからないけれどイメージとして圧倒的。
そしてこの映画の魅力は、やはり曇天の北ギリシャの山の風景と、その圧倒的な寒々しさだ。フィルムが褪色しているという注意があったけれど、どこが元の色でどこが褪色なのか、すごくいい感じにセピア色になっていた。