実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『悪名一番勝負』(マキノ雅弘)[C1969-35]

シネマヴェーラ渋谷の特集「次郎長三国志&マキノレアもの傑作選!」(公式)で『悪名一番勝負』を観る。『悪名』シリーズは、監督的にあまり興味がなくて観たことがないが、田宮二郎が出ているのでちょっと気になっている。この『悪名一番勝負』は、シリーズ中唯一マキノが監督をしているが、残念ながら田宮二郎は出ていない。ふたついいことはないもんだ。

悪名一番勝負 [DVD]

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マキノによる大映仁侠映画は、出演者も大映っぽくてなかなか新鮮。勝新太郎江波杏子と安田道代、安田道代と勝新太郎田村高廣というふたつの三角関係が絡みあう人間関係がおもしろい。アクションのない安田道代は、同じ年の『笹笛お紋』[C1969-33]とは大違いに魅力的。彼女の魅力を開花させたのはマキノであるということがよくわかった。

1969年のマキノ雅弘は、東映で『日本侠客伝 花と龍』[C1969-27]、日活で『日本残侠伝』[C1969-31]、大映でこの『悪名一番勝負』と、各社の俳優のカラーも出て、それぞれ特徴のある仁侠映画の佳作を撮っていて感心する。