実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港』(マキノ雅弘)[C1953-14]

シネマヴェーラ渋谷の特集「次郎長三国志&マキノレアもの傑作選!」(公式)で『次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港』を観る。9年ぶり三度め。ニュープリントということで再見したが、かなりきれいだった。

次郎長三国志 第二集 [DVD]

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「勢揃い清水港」というサブタイトルがすべてを表しているが、徐々に増えてきた主要メンバーもほぼ出揃い、清水に戻って地元の登場人物も出てきて、まさに「次郎長一家も今がいちばんいいときかもしれないね」という感じの映画。

次郎長三国志』シリーズを初めて観たのは、第一部から第五部までの5本立てオールナイトだった。ストーリーは全く知らない、登場人物の名前も全く知らない、出ている俳優もほとんど知らないという状態で、おまけにオールナイトだから、ほとんど何を観たのかわからない感じだった。ストーリーは何度観ても一向に憶えられないけれど、登場人物もだいたいわかり、俳優もほとんどお馴染みになったのは感無量である。

登場人物のなかでいちばん好きなのは追分三五郎=小泉博。この第四部ではけっこう出番も多く、「俺に惚れちゃあいけないよ」という台詞がすごく好き。小泉博が二枚目かというとちょっと微妙だけど、この追分三五郎は二枚目の役で、実際かなりかっこよく撮られている。第四部を観て思ったのは、これは小泉博と久慈あさみをきれいに撮ることにかなり情熱を注いだ映画であるということ。

いっぽう、何度観ても、登場人物全部に見慣れても、どうにもダメなのが次郎長=小堀明男である。ルックスも台詞もダメで、彼がひとりで出てくるとぜんっぜん画面がもたない。マキノ演出をもってしても。