実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『玄海遊侠伝 破れかぶれ』(マキノ雅弘)[C1970-22]

同じくシネマヴェーラ渋谷の特集「次郎長三国志&マキノレアもの傑作選!」(公式)で『玄海遊侠伝 破れかぶれ』を観る。

何も知らずに観たら、『日本大侠客』[C1966-32]の大映版リメイクだった。鶴田浩二藤純子がやっていた役が、勝新太郎と安田道代。気は優しくて力持ち的な型破りの暴れん坊、しっかり者のお姉さんに甘えるシスコンの弟、という若き日の吉田磯吉は、鶴田浩二よりは勝新のほうが合っていると思う。お竜/おりんも、藤純子の場合、最初貫禄がありすぎるせいか、男に裏切られただけで崩れてしまうのにがっかりしたが、安田道代だとしっとりしていてなかなかかわいらしい。少し演技過剰ではあるけれども、若松がよか街から汚なか街に変わってしまうところも、安田道代のほうが対比が効いているように感じられた。

しかしだからといって、こちらのほうがよかったかというとやっぱり『日本大侠客』のほうがいい。一般的にいって、リメイク版のほうがいいと感じるためには、オリジナルの少なくとも1.5倍はよくないとだめな気がする。久しぶりに『日本大侠客』を観直したくなった。

磯吉のおねえさんの役が京マチ子で、悪くなかったけれど、仁侠ものに京マチ子というのが意外だった(さすが大映)。おふじ役の南美川洋子が南野陽子に見えてしかたがなかった。