実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『くたばれ愚連隊』(鈴木清順)[C1960-60]

同じくシネマヴェーラ渋谷の特集「鈴木清順 再起動!」(公式)で『くたばれ愚連隊』を観る。

二枚目の主人公が特色ある地方に赴き、ヤクザや悪徳企業のいやがらせで困っている一家を助ける、という、渡り鳥シリーズに代表されるパターンを踏襲したもの。地方は淡路島、主人公は和田浩治だが、残念ながら和田浩治では魅力が乏しすぎてパターン化された物語をもたせられない。そのためか、主人公は偶然そこを訪れるのではなく、家から認められず行方不明だった名家の跡取りであることがわかったため、という設定になっており、それに母親探しと再会劇という母もの要素も加わっている。

この設定からしてマンガ的だが、コミカルな味つけでドタバタして笑わせつつ、母もので泣かせようという王道的趣向。しかし、コミカルな部分はそんなにおもしろくないし、母もの部分は和田浩治がマザコン全開で、反発も葛藤もないのでしらける。結局のところ、和田浩治ではもたないという映画。