実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ブエノスアイレス(春光乍洩)』(王家衛)[C1997-04]

ポレポレ東中野の「『UNDERWATER LOVE - おんなの河童』公開記念特集上映 いまおかしんじの世界+」で、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の『ブエノスアイレス』を観る。この特集で上映されるのは、撮影が杜可風(クリストファー・ドイル)だから。

ブエノスアイレス [DVD]

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ブエノスアイレス』をスクリーンで観るのは三度め。1997〜1998年ごろはVCDで繰り返し観たが、DVDも含めてかなり久しぶりの鑑賞だと思う。なのでじっくり浸りきって観たいと思っていたのに、すでにかなり薄れているアルゼンチンの記憶をたどりつつ、「ああ、このロケ地は…」などと思いながら観てしまい、結局浸れなかった。

この映画の感想はまだちゃんと書いたことがないが、それはそのうち書くとして、今回印象に残ったのは、梁朝偉(トニー・レオン)、張國榮(レスリー・チャン)、張震(チャン・チェン/ジャン・ジェン*)がみんなひとりになり、それぞれの場所でだれかを想う終盤の部分。梁朝偉はイグアスへ行って張國榮を想い、張國榮ブエノスアイレス梁朝偉を想う。そして張震はウスアイアで梁朝偉を想い、梁朝偉台北張震を想う。これらのシーンが畳みかけるように続いて、圧倒されているうちに終わった。

ただ、全体的に今までより軽い印象を受けたのが気になる。来年配給権が切れるらしいので、その前にもう一度スクリーンで、今度こそ浸りきって観たい。

初めて観たとき、梁朝偉はいい感じに年取ったなあと思ったが、すでに14年も経っているので、今観るとみんな若い。梁朝偉はその後はあまりうまく年を取っていない気もしてちょっと心配だ。張國榮があんなことになったのも、うまく中年の俳優に移行できなかったことが一因としてあるんじゃないかと個人的には思っている。香港俳優でうまく年を取っているのは、どこかで二枚目を降りたっぽい梁家輝(レオン・カーファイ)くらいのような気がする。ところで、亡くなってから張國榮を観るのは初めてかもとつぶやいたが、2005年に『レスリー・チャン 嵐の青春』[C1997-04]を観ていたので初めてではなかった。