実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『花の影(風月)』(陳凱歌)[C1996-28]

キネカ大森の名画座2本立てで、陳凱歌(チェン・カイコー)監督の『花の影』を観る。16年ぶり二度め。

花の影 [DVD]

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  • 冒頭のあたりをうっすら憶えているほかは、全く憶えていなかった。たぶん一度めはけっこう寝てしまったと思うけれど、今回は全く眠くはならなかった。
  • 時おり張國榮(レスリー・チャン)がどうしようもなく『欲望の翼』[C1990-36]に見えて気づいたが、陳凱歌がやりたかったのは、1920年代の上海を舞台に、『欲望の翼』をリメイクすることだったのだと思う。それは成功しているとは言いがたいが、陳凱歌としては「だって作りたかったんだもん」という映画であり、やりたいことはやったのではないか。
  • ヒロインは鞏俐(コン・リー/ゴン・リー*)だが、もっと若くて線の細い女優がやるべきだったと思う。さすがに鞏俐だからソツなくこなしてはいるが、「ほかに適当な人がいなかったから鞏俐」感、「また鞏俐かよ」感が濃厚に漂うのはいかんともしがたい。
  • 「こんな人が出てたんだー」という俳優がたくさん。張世(チャン・スー/ジャン・シー*)に、呉大維(デヴィッド・ウー)に、周迅(ジョウ・シュン*)。なかでも印象的なのは張世(チャン・スー/ジャン・シー*)で、ちょっといかがわしい雰囲気がはまっていて、観ていてニヤニヤしてしまった。周迅は、観た当時は知らなかったかも。
  • けっこうお金をかけていると思われる上海の街のセットが、いかにもセットというか、テーマパーク感が漂っていていただけない。街をパッと映さなくても、古い建物などを使って部分的に見せることで、もっと当時の雰囲気を出すことができると思うのだが。江南のお屋敷のたたずまいが圧倒的なので、上海が印象に残らなさすぎる。
  • 江南のロケ地は、江蘇省蘇州市吳江市同里鎮の退思園らしい。