実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ジーンズブルース 明日なき無頼派』(中島貞夫)[C1974-31]

同じくシネマヴェーラ渋谷の特集「中島貞夫 狂犬の倫理」(公式)で、『ジーンズブルース 明日なき無頼派』を観る。

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交通事故で偶然出会った梶芽衣子渡瀬恒彦が、殺人や盗難を繰り返しながら逃避行するというお話。中島貞夫による和製ボニー&クライドなら、これよりも、杉本美樹渡瀬恒彦の『女番長 感化院脱走』[C1973-29]のほうがずっといい。

梶芽衣子は、きれいで、目ヂカラがあって、クールで、かっこいい。しかし、やはりわたしは梶芽衣子に興味がわかない。完璧すぎる。老けているわけではないが、若々しさや瑞々しさや生々しさがない。いつもぜんぜん乱れていない、きれいすぎるストレートヘアも見るたびムカつく。

渡瀬恒彦は、犯罪に走る動機がはっきりしすぎるほどはっきりしていて、梶芽衣子はあまりにも不明瞭。渡瀬恒彦は暑苦しいのに梶芽衣子はクール。バランスがとれていない。だいたい、梶芽衣子渡瀬恒彦って似合わなすぎる。

内田良平に期待したが、髪型、サングラス、ファッションのすべてが70年代的にかっこ悪い。出番は比較的多いけれど、役柄も冴えない悪役。残念だ。他のキャストでは、曽根晴美のぜいたくな使い方が印象に残る。

ところで、コンテナって空気が入るんだろうか。コンテナに閉じ込められるところで、だんだん息が苦しくなる『どたんば』[C1957-34]的展開を予想したら裏切られた。