遅めに出京。Meal MUJIで昼ごはんを食べて、フィルムセンター(公式)の「映画監督 大島渚」(公式)へ。『太陽の墓場』を観る。
- 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
- 発売日: 2006/04/27
- メディア: DVD
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「そういえばこんな話だったっけ」と思い出しながら観て、やっぱりすごくおもしろく、堪能した。でも「三度めはないな」という感じ。もう一度観ても、やっぱり汗がギラギラしていて炎加世子が強烈だったという印象。前に観たときは、おそらくこんなに汚い映画を観たのははじめてだったし、ドヤ街とか闇の血液バンクとか愚連隊の抗争とか、内容的にかなりインパクトがあったのだと思うが、今では別に驚かない。記憶と違っていたのは、なんだか汚い人ばかりで誰が誰だかわからないという印象があったが、実はオールスターキャストだったこと(大島渚映画的に)。トップに津川雅彦と出た時点ですごくびっくりした。ぜんぜん記憶になかった。
大阪のドヤ街のバラックが建ち並ぶ風景や、パワフルな登場人物たちの汗や汚れは強烈だが、なぜかそこからリアルな空気感のようなものは感じられない。夕焼けをバックに大坂城が浮かび上がる風景も、どうもわざとらしい感じがしてしまう。脇の人物がみなカリカチュアライズされていて、演技が大げさなせいもあるかもしれないが、大島渚の映画はいつもその時代を鋭く切り取ろうとしているぶん、時が経つにつれて風化していくところがあるような気がする。それから、始終音楽が鳴っているのがうるさかった。メインテーマは悪くないが、なにゆえにこんなに最初から最後まで音楽が必要なのか理解できない。
チンピラになりきれない佐々木功や、悪に徹しきれず、走り続けることに疲れている津川雅彦は死に、裏切りを繰り返しながら対立する二つの組をうまく利用して生きる炎加世子だけが生き残る。彼女は小悪党だが、どの組織にも属さずにパワフルに生きる姿がかっこよく、威勢のいい台詞にも魅了される。結局この映画は炎加世子に尽きると思うのだが、これほど鮮烈なデビューを飾った彼女が、その後ほとんど活躍していないのはいったいどうしてなのだろうか。
フィルムセンターは老人や学生が多いから平日でも昼間でもあまり関係ないと思うけれど、かなりすいていた。たしかに老人向きの映画ではないが、もしかして最近フィルムセンターは客が減っている?