今日も遅めに出京して有楽町から京橋方面へ。BLESS COFFEEで昼ごはんを食べ、フィルムセンター(公式)の「映画監督 大島渚」(公式)で『夏の妹』を観る。『オキナワ、イメージの縁』[B1224]で取り上げられて以来ずっと観たいと思っていて、やっと観ることができた。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2000/10/18
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彼女と、なぜか入浴シーンのサービスがあるリリィと、若くてびっくりの石橋正次。大島映画には異色なこの若手三人に、いつものメンバーが絡む沖縄モノ。小山明子、佐藤慶、戸浦六宏が沖縄人の設定だけど、三人とも沖縄人にはぜんぜん見えない。栗田ひろみが小松方正の娘というのもぜったいにあり得ない。
複雑な関係をもつ小山明子、佐藤慶、小松方正、栗田ひろみ、石橋正次、それにりりィ、殿山泰司、戸浦六宏が一堂に会して、栗田ひろみが無邪気に問い詰めたり、りりィがあれこれ画策したりするたびに、一瞬不穏な空気が流れるが、それぞれの心のなかの様々な思いは表層には表れない。彼らを取り巻く明るく美しい夏の沖縄と同じように、表面的には穏やかな会話が続く。沖縄というよりハワイのような脳天気な音楽が、その雰囲気をさらに強調する。それは、とりあえず復帰して表面的には穏やかにつき合っていかざるを得ない、しかしながら深層ではわかりあえず、対等な関係が結ばれることもない、沖縄と日本のようである。
小松方正が佐藤慶に「特に沖縄人と意識してつき合っていたわけではなかった」と言う台詞が何度かあって、自分とは違うと意識することは差別と表裏一体であり、一方で違いを意識しないことは同化を強いることになる、ということをあらためて考えた。ふたりは当時学生運動をしていたと思われるが、小松方正が「あのころは気がつかなかったけれど、君は当時沖縄についてどのように考えていたのか」と今さらながら問うところも、当時学生運動をしていたような人たちの沖縄認識が表れていて興味深かった。ただ、佐藤慶と小山明子も土地を売って儲けようとしたりしていて、日本と沖縄の関係はそれほど単純には描かれていない。
日本復帰直後の沖縄で撮影されたということで、当時の沖縄の雰囲気みたいなものが伝わるかなと期待していたが、リアルな街の様子などはほとんど映っておらず、あまりそういったものは感じられなかった。石橋正次が観光客に沖縄語を教える商売をしているのが、内地からの観光客の増加を感じさせる程度である。
今日は昨日よりは混んでいた。『儀式』や『愛のコリーダ』もできれば再見したかったけれど、この特集に通うのはたぶんこれで最後。