実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『夏目漱石の純愛不倫文学』(相良英明)[B1137]

夏目漱石の純愛不倫文学』読了。

『それから』[B331]、『門』[B1137]、『行人』[B520]をテクストとして、純愛不倫文学としての夏目漱石を論じたもの。テーマは興味深いのだが、「比較文化研究ブックレット」なるすこぶる薄い本であるためか、「それから?」という物足りなさが残る。

ひとつなるほどと思ったのは、姦通罪のある当時の状況では、上記作品に書かれたレベルがせいいっぱいで、あれ以上は書けなかったということ。研究者にとっては当然の前提なのだろうが、わたしはそこまで気がまわっていなかった。漱石の描いた人物は、当時としては相当新しかったということもあらためて感じた。

とりあえず『行人』がものすごく読みたくなったので、近いうちに読みなおそうと思う。