実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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第7回東京フィルメックス総括

昨日やっと東京フィルメックスで観た映画の感想を書き終えたので(Q&Aの採録はまだ残っている)、ここで今年の映画祭を総括しておく。全体としては満足している。

  • 観た映画でよかったのは、『ワイルドサイドを歩け』(id:xiaogang:20061125#p1)、『黒眼圏』(id:xiaogang:20061126#p3)、『三峡好人』(id:xiaogang:20061117#p1)あたり。
  • 新作映画では、中国映画のすばらしさが目立った。東京国際映画祭では中国映画がいまいちだったので(東京国際は『青い凧』以来、当局と揉める映画の上映には腰がひけているようだし)、その分こちらに集まったという印象。でも希望をいえば、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)の“東”も『三峡好人』とセットで上映してほしかった。
  • 台湾映画は、去年は侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、今年は蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)と、観たい映画をいち早くやってくれたのは嬉しい。しかしここ数年、コンペティションでの上映がない。台湾映画至上主義者の私としては、新しい台湾映画を発見する喜びを味わいたい。なお、ずっと東京国際映画祭で上映されてきた蔡明亮が、フィルメックスに移ったのはどういう理由なのかが気になるところである。
  • 今年は特にイラン映画の上映が多かったが、ひとつも観られなかったのが残念だった。イラン映画といえば、アボルファズル・ジャリリ(Abolfazl Jalili)の新作はどうなっているのだろう。去年、ほとんどできているようなことを言っていたのだが、まだ公開されていないし、フィルメックスでの上映もなかった。まさか市山さんのお嫁さん探しがうるさいので、ジャリリ監督を敬遠しているわけではないですよね?
  • 特集上映はダニエル・シュミット(Daniel Schmid)を二本だけで、これははっきりいって不満だった。これまで未知のすばらしい映画を紹介してきた実績があり、特に2000年のイラン映画と2002年のソ連映画は、生きててよかったというくらいすばらしかった。やはり何度も上映されたものではなく、未知の映画を紹介し続けてほしいと思う。
  • フィルムセンターでの特集上映は岡本喜八。新作も特集も観たい映画ばかりだと体がもたないので、それほど興味のない監督の特集だとホッとする、というのが正直なところ。しかし、ここで特集上映されればその後世界の映画祭をまわることがほぼ約束されているので、やはりその内容は気になる。今後やってほしいのは、マキノ雅弘加藤泰石井輝男といったところだろうか(海外の映画祭で、誰の特集がどの程度組まれているのかについては全然知らない)。
  • スケジュールについては、有楽町朝日ホールでの最終回の上映がもう少し早いと嬉しい。また、『エレクション』と『エレクション2』が別々の日に上映されたのがとても疑問だった。中国映画全部とかイラン映画全部とかいった観方をする人も多いと思うので、まとめて上映してその日だけ休めばいいようにしてくれると嬉しい。
  • 公式カタログは、間違いがけっこうあった。今年は読み物がほとんどなかったのも残念。

さて、これで映画祭シーズンも終わったので、あとは年末に向け、家で澳門(マカオ)映画のチェックに励みたいと思う。