実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『いぬ(Le Doulos)』(Jean-Pierre Melville)[C1963-34]

ちょうど都心に外出していたこともあり、フィルムセンターへジャン=ピエール・メルヴィル監督の『いぬ』を観に行く。最近は不規則な生活ができない体になってしまったので、レイトショーなんてとんでもないし、夕方以降の映画も滅多に観ない。そんなわけで、かなり久しぶりの平日映画。

今のフィルムセンターの特集は、「フランス古典映画への誘い」(公式)。「古典映画=30年代の映画」というイメージがあるので、全くノーチェックだったのだが、偶然『いぬ』をやっていると知って(こういうのがブログを読むメリットである)、慌ててプログラムをチェックした。残念ながらほかのノワールものはなさそうだが(『ギャング』がもう一度観たい)、『いぬ』の2回目の上映には間に合った。

フレンチ・ノワールはかなり久しぶり。クールだ。セルジュ・レジアニがひたすら歩いているタイトルバックがかっこいい。ポール・ミズラキによる音楽がかっこいい。モノクロのトーンもいい。キャストはそんなに渋いわけではなく、セルジュ・レジアニがリノ・ヴァンチュラだったらいいのに、などと思ったりもする。主演のジャン=ポール・ベルモンドは、あの軽薄そうな、いまひとつ信用できない雰囲気が、「いぬなのか、それともそうじゃないのか?」と思わせるキャラクターにうまく合っていた。私は最初のほうで潜入警官かと思ってしまったが(日活映画や香港映画の観すぎ)。若いミシェル・ピコリが登場すると、思わず「マダム・ダム♪」と歌い出すんじゃないかと思ってしまうが、もちろんそんなことはなかった。歌わないとなんとなく室田日出男を連想させる。

映画は見どころたっぷりでとてもおもしろかったが、やっぱり4時間睡眠になってしまって辛かった。フィルムセンターは昔は6時半からだったのに、どうして7時からになってしまったんだろう。

いぬ [DVD]

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