実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『柔道龍虎房(柔道龍虎榜)』(杜蒞峰)[C2004-39]

大掃除休暇まで取って準備した週末の予定がなくなって気が抜け気味のところ、杜蒞峰(ジョニー・トー)監督の『柔道龍虎房』(公式)を観に、キネカ大森へ行く(つい最近まで、この映画のタイトルは“柔道排行榜”だと思っていた)。まだ3週目なのに今週いっぱいで終わりらしく、もう少しで観られなくなるところだった。観客もまばらで寂しい。

柔道を捨てて酒に溺れる主人公、古天樂(ルイス・クー)が、再び柔道によって自分を取り戻すまでを描く、というのが一応のストーリー。異様なテンションの高さに呆気にとられ、呆然と口をあけて見ている(あくまでも比喩)うちに終わった、という印象。観終わってふり返ってみると、かなりおもしろかったかも。師匠の息子(草蜢(グラスホッパーの蔡一智(カルバン・チョイ))が何度も歌うへなちょこ日本語の主題歌「や〜れ〜ば〜できるさ〜♪…さんすろう♪」が頭から抜けない。

私は、黒澤明版であれリメイク版であれテレビ版であれ、『姿三四郎』は未見でストーリーも知らないので(ついでに言うと『柔道一直線』も)、それらとの関連については全くわからない。また柔道そのものもほとんど知らないので、映画中の柔道が柔道としてどうなのか、すごい技なのかといったこともわからない。でも香港なのに主人公のまわりに柔道家がいっぱいいて、ナイトクラブでの乱闘シーンが全部柔道だったりするのがすごすぎる。

主要な登場人物は古天樂と郭富城(アーロン・クォック)(もう40なのに20代みたいな役)と應采兒(チェリー・イン)だが、一番の見どころは柔道をする梁家輝(レオン・カーファイ)。スーツ姿で登場したときは、あまりに渋くて誰かと思ったが、柔道をしているところは(強いという設定だが)そんなに強そうには感じられなかった。それから安藤昇みたいな渋いおじさんが出ていて、かなり興味をひかれた(張兆輝(チョン・シウファイ)ですか? これまでも見ているはずだが…)。高捷(ジャック・カオ)も出ているが、ただのお父さん役でがっかり。でも香港映画なのに、娘との会話で台湾語を話しているところが凝っている。