実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『早熟(早熟)』(爾冬陞)[C2005-53]

関内へ移動。適当に晩ごはんをすませ、シネマ・ジャックの「中国映画の全貌」で、爾冬陞(イー・トンシン)監督の『早熟』を観る。はげしくすいている。

世界中の至るところで数多作られていると思われる、十代の恋人たちの妊娠とか同棲とかのお話。身分ちがいというか家庭環境が全然違うところも典型的。主演は、房祖名(ジェイシー・チェン)と薛凱蒞(フィオナ・シッ)。庶民の房祖名の両親が曾志偉(エリック・ツァン)と毛舜筠(テレサ・モウ)で、お金持ちの薛凱蒞の両親が黄秋生(アンソニー・ウォン)と余安安(キャンディス・ユー)。この四人がとにかく賑やかで、久しぶりにこういうベタな香港映画を観たという感じ。

情緒的な展開は気になるが、ていねいなつくりや落ち着いた画面には好感がもてるし、主演のふたりも、実は二十代らしいが、初々しさが感じられてよかった。しかし、こういうケースでいちばん問題になるであろう、住まいをどうするかというのがあっさり解決されていたのはずるいと思う。小巴(ミニバス)とか団地とかは出てくるが、もう少し香港らしさが濃厚だとよかった。また、女子高生モノということで制服姿を期待したのに、私服の学校だったので、制服フェチのおじさん(ウソ)としては残念でした。

家出して同棲を始めたふたりは、即席麺や缶詰ばかり食べて栄養失調になってしまうが、おなかいっぱいのところに食べるシーンが多いので、あまり飢えは感じられなかった。でも、残金を確認しながらやりくりするふたりの暮らしに「わたしも節約しなきゃ」と思ったりして、これもまた身につまされる映画だった。