実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『20.30.40の恋』(DVD)

今年になってまだ映画を観ていない。「今日こそは」と勇んで出かけたが、バスがいっこうに来なくて間に合わなそうになり、大雪で帰れなくなる不安もあってあえなく挫折。『サヨンの鐘』、観たかったのに(山猫軒も予約していたのに)。

せめて家では未見の映画を観ようと、張艾嘉監督の『20.30.40の恋(20.30.40)』をDVDで観る。これは公開されずにDVDが発売されてしまったため、J先生が李心潔ファンということで購入したもの。

20代、30代、40代の女性の恋愛をめぐる話が同時進行的に描かれた映画で、趣向は悪くないが、「知らない同士がどこかですれ違っている」的作りは、正直「またかよ」と思わないでもない。三つの話の重なり方にももう少し工夫がほしい。

主演は李心潔(アンジェリカ・リー)、劉若英(ルネ・リウ)、張艾嘉(シルヴィア・チャン)。20代の話は、「10代のお話では?」と思われる内容で、李心潔も若作りしすぎだが、李心潔の魅力もあって三つの中で一番よい。李心潔は日本でももっと売り出して、ついでに“愛[イ尓]愛我”を公開してほしい。30代の話はちょっと図式的なのが気になる。ヒロインが最後に見つける男性が子持ちやもめなのも気になる。別にそういう意図はないんだろうし、子持ちやもめ男だってきれいな女性と恋愛や再婚をする権利はあるけれど、ちょっと前に見た『結婚相談』(id:xiaogang:20051217#p1)もそうだったので、「30過ぎたら、相応しい相手は子持ちやもめなのかよ」とちょっと反感を感じたりもする。40代の話は分量多すぎ(量ったわけではないが感覚的に)で、内容もちょっと過剰。前の二つは台湾映画で、40代は香港映画という感じ。これまでは特に意識に上っていなかったが、この映画を観て「私は張艾嘉があまり好きではない」ということに気づいた。どんな役をやっても、「張艾嘉出てます」という感じの存在感がイヤ(若い頃のはそうでもない気がするが)。

主演の三人も各年代で台湾を代表する女優だと思うが、ほかにも梁家輝(レオン・カーファイ)やら陳柏霖(チェン・ボーリン)やら陳昇(ボビー・チェン)やら任賢齊(リッチー・レン)やら黄秋生(アンソニー・ウォン)やらが出てきて、なにげに豪華な映画だった。公開しないのはもったいないと思う。

それから、この映画には地震が出てくる。九二一以降、地震が出てくる台湾が舞台の映画は、私の知るかぎり『引き金(扣板機)』、『ターンレフト ターンライト(向左走・向右走)』に次いで三本目(ドキュメンタリーを除く)。九二一集集大地震が及ぼした影響の大きさをあらためて感じた。