実録 亞細亞とキネマと旅鴉

サイトやFlickrの更新情報、映画や本の感想(ネタばれあり)、日記(Twitter/Instagramまとめ)などを書いています。

『アバウト・ラブ』

オムニバスなので、全体としてはまぁこんなものかという感じ。一番よかったのは、時間も人間関係も絞って短篇向けのつくりになっている台北篇。ペンキの塗り合いや台詞の練習が延々と続くしつこさは、『藍色夏恋』の体育館での喧嘩シーンを彷彿させる。龜山島とか出てきて、全然台北じゃないのだが。他の二つは、明確なストーリーラインを持ち込もうとしている分、中途半端な感じがする。上海篇は、雑貨屋の風情とかはためく洗濯物とか、ロケ地の魅力はなかなか。東京篇が一番よくなくて、王家衛の亜流みたいなモノローグがはずかしく、伊東美咲もよくない。

言葉がちゃんと通じない同士のコミュニケーションというのはこれからどんどん増えてくる問題で、そこをキーにした目のつけどころは面白い。でも彼らは旅行者ではなくそこに住んでいるのだから、もう少し言葉ができてもいいのではないか。特に加瀬亮。暮らしていけているのが不思議なほどひどい。せめて単語レベルは認識してほしい。長期留学に来たはずの塚本高史が、帰国する頃になってもたいして上達していないのも気になる。