シアター・イメージフォーラムで、モンテ・ヘルマン監督の『果てなき路』(公式)を観る。
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2012/07/18
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (4件) を見る
この映画のポスターであり、同時に映画のなかで撮られている映画のポスターでもあるものの、目を閉じた女性の顔があまりに魅力的なので、ローレルを演じるシャニン・ソサモンが初めてスクリーンに登場したときは、正直なところ少しがっかりした。目を閉じていない彼女はポスターの彼女ほど魅力的に見えなかったし、いわゆるファム・ファタールっぽい雰囲気でもなかったからだ。しかし、相手役の俳優と演技の練習をする彼女、監督と部屋で映画を観ながら涙を流す彼女、ひとりのときの謎めいた彼女など多様な顔を見せながら存在感を増していき、次第にヴェルマとローレルと映画のなかのヴェルマの区別を曖昧にしながら魅力を増してくる。
トム・ラッセルのカントリー中心の音楽もなかなかよかった。映画の公式サイトにはたいていロクな情報がないからあまり見ないのだが、この映画のサイトにはちゃんと使用楽曲リストがあって感心した。
しかしながら、映画のなかで直接引用されている映画のことは何も書いてない。使われているのは、『レディ・イヴ』[C1941-07]、『ミツバチのささやき』[C1973-01]、『第七の封印』[C1957-08]。ちょっとヘンな組み合わせだけどこれはシネフィル的なのかな。『ミツバチのささやき』を引用するなんて、ふつうはできないというか、ものすごく勇気のいることだという気がする。長らく観ていないので、すごく観たくなった。