実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『暖流』(吉村公三郎)[C1939-09]

フィルムセンターの特集「生誕百年 映画監督 吉村公三郎」(公式)で『暖流』を観る。これはかなり好きな映画だが、去年の12月に再見したばかりなので、ふつうならパスするところ。ところが今回は、これまでに観ている124分の総集篇ではなく、132分の英語字幕つきバージョンが上映されるという。オリジナルが残っておらず総集篇のみのこの映画、総集篇らしい不自然さ、物足りなさはそんなに感じないが、8分も長いとなれば観ないわけにはいかない。

観た結果は、特に重要な追加部分はなく、全体に影響するような相違はなかった。作品自体の感想は前回十分に書いたので(id:xiaogang:20101207#p3参照)、今回は、このバージョンでの追加シーンについてのみ書いておく。細かい編集の違いもあったと思われるが、そこまではわからない。追加されていたシーンは次のとおり。

  • 指を怪我した啓子(高峰三枝子)の治療が終わったあと、笹島(徳大寺伸)が女医(忍節子)と、啓子の父親(院長)の病気の噂をするところ。
  • 啓子が友人たちと箱根に行っているところ。
  • 啓子の母(葛城文子)が啓子の兄(斎藤達雄)に呼ばれて叱られるところ。

いちおう、徳大寺伸の出演シーンが増えていたのは喜ばしい。

それから、追加シーンではないけれど、日疋(佐分利信)が志摩家へもってきた台湾みやげの果物かごくだものが気になった。啓子が取り上げていじくりまわしている果物はなんだろう?