バンガロールに来ちゃったの

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『誇り高き挑戦』(深作欣二)[C1962-35](DVD-R)

シシリアンを食べながら観たのは、先日から観たいと思っていた深作欣二監督の『誇り高き挑戦』(映画生活/goo映画)。

誇り高き挑戦 [DVD]

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いいじゃないですか、これ。事件は終わっても、疑惑は闇から闇へと葬られる、その無力感漂うラストは、たとえばチャンドラーのハードボイルド小説のような味わいがある。それに、人物配置とか、構図がすごくかっこいい。

映画館で観たときは、実はそれほど高く評価していなかった。それはたぶん、武器買いつけの話のリアリティのなさというか、買いつけに来ている人たちが怪しすぎるのと、東南アジアといいながらみな英語で会話しているのが納得できなかったからだと思う。英語はやはりものすごく気になるし、彼らはやはり嘘っぽく、全体の重厚な雰囲気にニュー東映的なB級テイストを混入させている。全体的な完成度を考えると惜しいが、革命派のボスがやまりん(山本麟一)なのでいいことにしよう。

目当ての丹波哲郎は、やはりすごくかっこいい。『黄色い風土』[C1961-36]から1年で若げな印象は消え、すでに貫録十分である。一方の鶴田浩二も、やはり太めだがほとんどコートを来て黒いサングラスをしているので、なかなかかっこよく見える(考えてみると、石井輝男の現代劇での鶴田浩二はことごとくかっこ悪い)。

深作が主演の鶴田浩二に託している「戦中派の情念」なるものは、私にはよく理解できないので、どうして占領の傷はあるのに戦争の傷はないのか、と思ってしまう。一方、誰をも信じないという丹波哲郎の虚無的な生き方は、その裏に戦争の傷があるように思われるのだが、そのあたりは掘り下げられておらず残念である。そこまで描いてしまうとタンバが鶴田浩二よりかっこよくなってしまうので、いいかげんに済まされているのかもしれない。