実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『親切なクムジャさん』

刀削麺荘で昼食を食べてからシャンテ・シネへ。今日から東京フィルメックスだが、その前に『親切なクムジャさん』を観る。中川信夫監督特集の『私刑』を観るつもりだったのに、観たい映画をこなすため予定変更。映画祭シーズンだというのに、観るべきロードショウ公開が多すぎる。

朴贊郁(パク・チャヌク)監督の映画は、あいかわらずいろんな意味で過剰であり、あまり好みではないが、今回はグロ度も少なくそれなりに楽しめる。クムジャさんは赤いアイシャドーに流行を無視した服とのことだったので、李英愛(イ・ヨンエ)が片山さつきになっていたらどうしようと危惧していたが、そんなことはなくてほっとした。前半はともかく、黒い革のコートに黒いブーツはかっこよかった。

この映画で一番恐いのは、誘拐殺人事件の被害者家族が、多数決で復讐することを選択させられ、望まない人たちもそれを強要されること。某家族会の人が、みんな口を揃えて同じことを主張するのが不思議でしかたがないが、あれもこういうカラクリなんだろうか。おぉ、こわ。最後はもうちょっと無常感やむなしさが滲み出てほしかった。18歳のクムジャさんは馬鹿女子高生にしか見えないのに、刑務所に入れられたとたん、あれほど綿密な復讐計画を立てて冷静に実行にうつすのが不思議だ。