実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『雪崩』

大佛次郎原作の文芸映画で、登場人物がいかにも小説からとったような観念的な台詞を早口で抑揚なくしゃべっていて、リアリティが全然ない(もしかしてそれによってブルジョアの空疎な心情や生活を表しているのかも)。「動物園」三島雅夫が一番人間味がある。原作がどのぐらいの分量なのか知らないが、長篇として撮ったほうがよかったんじゃないだろうか。紗をかけたモノローグ画面はたしかに妙で、モノローグの終了とともにカットされるところはまだしも、モノローグが終わって紗をぬく(?)ところが何ともいえずヘンだ。