実録 亞細亞とキネマと旅鴉

サイトやFlickrの更新情報、映画や本の感想(ネタばれあり)、日記(Twitter/Instagramまとめ)などを書いています。

『噂の娘』

10時10分くらいに行くと、まだ行列らしい行列はなく、拍子抜けするほど客が少ない。成瀬巳喜男特集も二巡目に入って人気が落ちたのかと心配になったが、始まる頃にはほぼ満席になった。

今日の最初のプログラムは、汐見洋特集、あるいは三島雅夫特集(J先生げきよろこび)。『噂の娘』は54分の中篇ながら、水上バスのシーンとか酒屋と床屋が向かい合っている感じとか、なかなかよい。汐見洋演じるおじいさんもいい味を出している。娘たちでは、梅園龍子がいい。柱かなにかにもたれて立っているところとか寝ころんでいるところとか、生々しい存在感がある。千葉早智子のほうは、あまりに理想的な良い子すぎて現実味がない。内容のなさそうな大川平八郎でなくとも、妹のほうを所望しそうだ。和解したり反省したりするシーンなしに終わるのもよい。