実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『次郎長三国志 第九部 荒神山』(マキノ雅弘)[C1954-26]

シネマヴェーラ渋谷の特集「次郎長三国志&マキノレアもの傑作選!」(公式)で『次郎長三国志 第九部 荒神山』を観る。

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これだけ未見だったので、これで東宝版『次郎長三国志』制覇。しかし第十部が作られなかったため、話の途中で終わっていて達成感も中途半端。近年評価の高いこのシリーズだが、きらいな股旅ファッションのせいか、実はいまひとつ苦手だ。スローすぎるテンポに慣れるのが難しく、どうしてもちょっとだけ寝てしまったりするのだけれど、今日は全く寝ないで観ることができた。もしかしたら初めてかも。

うまくリズムにはまればなかなか楽しく、今回あらためて思ったのは、『次郎長三国志』はメロドラマであるということ。男女のメロドラマ的な話はあまり多くないが、どこから見ても魅力のない小堀明男=次郎長親分への子分たちの愛情も、次郎長一家の強すぎる同志愛(いや、そういう意味じゃなくて日本語のね)も、すべてメロドラマ的に解釈すると腑に落ちる。実際には俳優たちはあまりくるくるまわったりはしないのだけれど、ヒロインがくるくるまわる50年代マキノ的メロドラマとして解釈すると納得の連続。だからといって、最初からもう一度全部観直してみようという気にはなかなかならない。

今回からの登場人物は、若原雅夫演じる吉良の仁吉と角梨枝子演じる奥さんのお米。ふたりのラブラブぶりと仁吉の尻に敷かれっぷりがなかなか楽しかったので、第十部がないのはなんとも惜しい。ところで、以前、若原雅夫と若杉英二を混同していたのはここだけの秘密。