実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『東京上空いらっしゃいませ』(相米慎二)[C1990-03]

東劇で、相米慎二監督の『東京上空いらっしゃいませ』(東京フィルメックス)を観る。第12回東京フィルメックスの特集上映「相米慎二のすべて -1980-2001全作品上映-」の一本。21年ぶり二度め。

東京上空いらっしゃいませ [DVD]

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はずかしながらわたしが初めて観た相米映画。これ以降の作品はすべて公開時にリアルタイムで観ている。死んでしまった女の子が元の外見のまま地上に戻ってくるという話で、わたしは本来こういうファンタジーは受けつけないのだが、なぜかこれはだいじょうぶだ。

この映画はなんといっても牧瀬里穂の映画である。わたしの好みからいって、彼女は薬師丸ひろ子斉藤由貴に比べてもとがそれなりに魅力的だが、それに相米演出が加わってキラキラ輝いている。このキラキラをこころゆくまで堪能すべき映画だと思う。ヒロインの一生懸命さも、薬師丸ひろ子だと鼻につくけれど牧瀬里穂だと切なく感じられる。もとがきれいにまとまっているぶん、斉藤由貴みたいな破壊力はないのだけれど。ポラロイド写真を見て泣くシーンが、やっぱりいちばん好き。中井貴一も、等身大の感じがなかなかよかった。

リアルタイムで観ているせいか、それとも当時と今との風俗や流行の差をそれほど感じないせいかわからないが、80年代の映画のようなはずかしさはいま観ても感じない。ファッションも喋りかたもすんなり受け入れられた。

音楽は、『帰れない二人』のいろんなバージョンが使われている。