実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『パレルモ・シューティング(Palermo Shooting)』(Wim Wenders)[C2008-46]

吉祥寺バウスシアターで、ヴィム・ヴェンダース監督の『パレルモ・シューティング』(公式)を観る。吉祥寺もバウスシアターも思い出せないほど久しぶりで、どうやらバウスシアターは16年ぶりであるらしい。

写真家、フィン(カンピーノ)が「死にたい、死にたい」と言うので、死神様(デニス・ホッパー)がわざわざ出向いてくださったのに、フィンはパレルモに行って癒されたうえ、魅力的な女性、フラヴィア(ジョヴァンナ・メッゾジョルノ)と知り合ってルンルンになってもう死にたくないので、失礼にも死神様に帰っていただく、というお話。

車や飛行機での移動シーンでつなぎ、音楽を垂れ流しながらフィンの日常が断片的に綴られる前半は、先の見えない展開でなかなかおもしろく観た。しかし終盤の死神との対峙シーンは、説明的な台詞が長々と続き、しかもわかりきった内容で一気にダレた。だいたいフィンはその時点ですでに死にたくなくなっているので、死神による説得は意味をもたない。死神がホッパーだから許すけれど、あんなになったホッパーは見たくなかったという気もする。

モダンでハイテクなデュッセルドルフと、アジア的な混沌と古びた街並みのパレルモとの対比は、いささか図式的すぎると思うが、パレルモの街はとても魅力的だったし、デュッセルドルフも意外と悪くない感じだった。○歳になるまでに行きたいシチリア

けっこうアップが多かったが、カンピーノとジョヴァンナ・メッゾジョルノはふたりとも顔がすごくよくて気にならなかった。美男美女というのとは違うけれど、とても画になる顔で、表情の変化ひとつひとつを感心しながら見ていた。ジョヴァンナ・メッゾジョルノに関しては、『愛の勝利を』[C2009-43]の女優さんだからひいき目もあるのだけれど。