実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『恋のエチュード(Les Deux Anglaises et le continent)』(Francois Truffaut)[C1971-05]

新宿K's cinemaの特集「それぞれのヌーヴェルヴァーグ」で、フランソワ・トリュフォー監督の『恋のエチュード』を観る。24年ぶり二度め。

フランス人青年クロード(ジャン=ピエール・レオー)が、イギリス人姉妹・アン(キカ・マーカム)とミュリエル(ステーシー・テンデター)のあいだを行ったり来たりし、7年かけて両方の最初の男になるものの、結局は通過されただけで終わる、というお話。『男性・女性』[C1966-50]の頃よりもっと信用ならない感じになってきたジャン=ピエール・レオーは、クロードの役にぴったり。

美しいイギリスの風景(フランスで撮ったらしいけれど)と美しい映像のなかに、生々しい恋愛模様、特に生々しいセックス描写を散りばめた映画。いちおう美人姉妹だけれどルックス的な魅力が乏しかったり、妹のミュリエルがけっこう鬱陶しかったりするのが気になりつつも、観終わったあとで人生の重さみたいなものがずっしりと感じられて打ちのめされる。『恋のエチュード』という邦題は原題とは全く関係ないが、クロードの7年間が恋ではなくて恋の練習でした、という意味だとしたらけっこうおそろしい。

ロケ地は、とりあえずロダン美術館がけっこう重要な場所として出てくる。