実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『女囚さそり 701号怨み節』(長谷部安春)[C1973-27]

銀座シネパトスの特集「梶芽衣子スタイル その魅力にはまる」(チラシ)で、長谷部安春監督の『女囚さそり 701号怨み節』を観る。

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『女囚さそり』シリーズの第四作で最終作。このシリーズを観るのは初めてで、これまでの物語を知らないが、いちおう独立した一本として楽しむことができた。しかし、残念ながらあまり惹かれるところはない。わたしはやっぱり梶芽衣子には興味がわかない。かっこいいと言われればそうかもしれないが、結局のところ70年代的なものはすべてかっこ悪いと思う。

『女囚さそり』シリーズは梶芽衣子の復讐物語だということだが、ここではそれは影をひそめ、むしろ学生運動とその挫折が盛り込まれた田村正和の話が中心になっている。細川俊之などの劇画っぽさに対して、田村正和のエピソードはけっこうリアルな感じで、わたしはこちらのほうが好きだが、もしかしたらシリーズのなかで浮いているのかもしれないと思う。監督が伊藤俊也から長谷部安春に替わったことも関係しているのだろうか。ただ、ちょっと図式的なのもあって、時代のかほりを感じるというよりは、「いま見せられても」という感が強い。

田村正和はけっこうへんちくりんな顔で、今ほどナルシストではなく、あまり余裕がなくていっぱいいっぱいな役。「田村正和は昔から田村正和だった」という展開を期待していたわたしとしては、ちょっとがっかりだった。