実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ゴモラ(Gomorra)』(Matteo Garrone)[C2008-07]

ハーブズで、デザートにケーキがつくサンドイッチのランチを食べてから、2本めの『ゴモラ』。今回唯一のWORLD CINEMA部門の作品で、マッテオ・ガローネ監督のイタリア映画。

アメリカや日本や香港には、ギャング映画やヤクザ映画が多い。イタリアはマフィアの本場である。なのにギャング映画はあまり聞かない。その理由は、マフィアが怖くて作れないからのようで、『イタリア・マフィア』[B1217]では、たしか『シシリーの黒い霧』を作った際の困難さについてふれられていたと思う。

そんななか、ナポリのマフィア、カモッラについての映画ということで、けっこう期待していた。いわゆるギャング映画ではないことは予想していたし、複数の人物を取り上げ、それぞれのエピソードを並行して、淡々と描いていく手法も悪くない。しかしいまひとつぴんとこないというか、描こうとしているものを(頭ではわかるのだが)映画から十分に感じることはできなかった。画があまり好みではなかったのと、昼食後の集中力不足のせいかもしれない。あるいは、政界とか財界とか、表の世界にいかにマフィアが入り込んでいるかが描かれているのを期待していたが、それとはちょっと違っていたせいかもしれない。

しかし、途中で中国人の縫製工場が出てきて、その経営者の家で鄧麗君(テレサ・テン)の“小城故事”が流れていたときは、「やはりこれはわたしが観るべき映画だったんだ」と思った。

ところで上映前に、「ゴモラ円谷プロ著作権をもつキャラクターですが、本映画はこのキャラクターとは一切関係はありません」という趣旨のアナウンスがあった。どうやらゴモラという怪獣がいるらしいが(知りません)、それより前からある本来の意味で使われている言葉に、そのようなアナウンスが必要とされるのはなんだかおかしい。まさか、聖書やプルーストの日本語訳にも、そういう注意書きがあるわけではないですよね。しかしなんでまた怪獣にそんな名前をつけたんだ?

トータル・ワークアウト・カフェで晩ごはんを食べる。