超寒い雨の中、朝から渋谷へ。11時からの二本立てに備えて、10時過ぎにセガフレードでパニーニの昼ごはんを食べる。今日は、シネマヴェーラ渋谷の「妄執、異形の人々II」(公式)特集で、『異常性愛記録 ハレンチ』が上映される。目当てはもちろんこれだが、併映は『徳川一族の崩壊』。知らない映画だが、監督は山下耕作だし、よろきんは1本くらいしか観たことがない(錦之助ならもちろん多数ある)ので楽しみだし、「東映トンデモ史観」ってどんなだろうとか、こちらも期待していた。
ところが、フィルムの状態が悪くて上映に耐えられないとかで、『宇宙からのメッセージ』に変更されたと知ったのは数日前。「監督が深作欣二だから観るか」と思ったが、そもそもどんな映画か知らないので、昨日少し検索してみた。なんだか愛好家の方もいらっしゃるようだが、「登場人物紹介」を見ただけで憂鬱度倍増。「観たくない…」「憂鬱ねえ」とつぶやく私。でもタンバが出ているので観ることにした。11時から上映されるのは、その『宇宙からのメッセージ』(映画生活/goo映画)。憂鬱でも観ようと思った理由はもうひとつあって、それは二本立ての2本めから入って座れなかったら困るから。しかし初回の入りは六分程度で、結果的には2本めから入ってもよかったことになる。
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そんな細かいことをいう前に、そもそもドラマになっていない。こういうのはだいたい青年の成長物語になっているものだけれど、ここに出てくる若者たちはたいして成長しない。熱い友情や、あっと驚く裏切りのドラマがあるわけでもない(とってつけたようなのならある)。ロマンスもないに等しい。そもそも魅力的な登場人物がいない。平和を尊ぶメッセージが込められているわけでもなく、逆に戦いを正当化するような台詞ばかり出てくる(そういった台詞が浮いて聞こえて、右翼のプロパガンダみたいだ)。「ドラマなんていらない、アクションで見せるんだ」という考え方もあるけれど、アクションスターを取り揃えているわりにアクションの見せ場というのもないに等しい。
例によって地球連邦評議会議長とかを演じる丹波哲郎の出番は二度ほど。地球人の役で、銀塗りでなくてよかったが、たいしてインパクトもない。銀塗りといえば成田三樹夫。「成田三樹夫を銀塗りにするなんて」と憤慨したが、しかしよく引き受けたな、こんな役(一生の不覚だろう)。千葉真一、真田広之、志穂美悦子が揃いぶみしているのをみて、「そういえばこのころは彼らが嫌いだったな」といったことを思い出す。外国人俳優の存在意義も不明で(宇宙人も含めてみんな日本語を話してるんだし)、それより日本のスターを出したほうが集客力があったと思う。
本当なら「▼▼」(後悔している)マークをつけたいところだが、深作全制覇、タンバ全制覇のためには観なければならない作品なので、観た意義はあった、ということにしておく。
『スターウォーズ』ブームのなかで、「日本の『スターウォーズ』」を目指して作られたものなのかと思って観ていた。ところが『映画監督 深作欣二』[B1013](asin:489830155X)によると、『スターウォーズ』公開までに大急ぎで作って公開したパクリ映画らしい。深作がこれの前後に作った映画が、『柳生一族の陰謀』と『赤穂城断絶』というのもちょっとびっくり(しかもこの3本を1年で撮っている)。『柳生一族の陰謀』は前から観たくて、実は昨日観ようと思ったのだが、探していたら『顔役』が目についたのでそっちを観てしまった。やはり観ておくんだったと後悔。『赤穂城断絶』も劇場では観ていないので詳細は憶えていないが、これはかなりよかったはず。『宇宙からのメッセージ』なんか作っちゃって、深作の栄光も地に堕ちてもうおしまい、というわけではなかったようだ。『柳生一族の陰謀』、『赤穂城断絶』とも、近いうちに観てみようと思う。