実録 亞細亞とキネマと旅鴉

サイトやFlickrの更新情報、映画や本の感想(ネタばれあり)、日記(Twitter/Instagramまとめ)などを書いています。

『グッバイ・ボーイズ(Goodbye Boys)』(Bernard Chauly)[C2006-06]

東京国際映画祭第三日も朝から六本木へ行き、まずベーグル&ベーグルで昼ごはんを食べる。今日の一本目、映画祭五本目は、バーナード・チョーリー監督の『グッバイ・ボーイズ』(公式)。アジアの風の「マレーシア映画新潮」の一本。監督の名前は、プログラム等には「ベルナール・チャウリー」と書かれているが、「バーナード・チョーリー」の方が近いらしい。ベルナールと読むかバーナードと読むかは単なる表記の問題ではない。こういった間違いをみるにつけ、主催者側の姿勢を疑わずにはいられない。監督の名前はムスリムっぽくないとは思っていたが、明らかに中国系の名前ではなかったので、マレー系なのだろうと思っていたが違った。お父さんがパンジャブ系、お母さんが広東系のハーフらしい。

映画は、八人の男子高校生が、ボーイスカウトで100Kmハイクをする5日間を描いたもの。進路のこと、女の子のこと、家庭のことなどいろいろな悩みを抱えながら、5日間の様々な体験を通して成長していく。八人の中には親友同士と呼べるような組み合わせが二組あり、日頃からソリが合わないこの二組が反目しあい、もめるというのはよくある展開だが、この二組の親友関係がいずれも壊れるというところがおもしろかった。友情が深まるというより、これまでの関係を見つめなおしていくという展開だが、少年たちを等身大に描いた、さわやかな映画である。

彼らはイポーのカトリック系の学校に通っており、八人中六人はたぶん中国系、あとの二人はよくわからないがハーフなのか。デブが一人混じっているのはお約束。メインの言語は英語で、時々広東語やマレー語も使われている。彼らの通う学校は、St. Michael's Institution, Ipoh(公式)。映画にもちょっとだけ出てくる。海外留学すべきか悩んだり、国内で進学する場合はマレー語がネックだと語ったり、ブミプトラ政策によって不利な立場に置かれている彼らの位置がさりげなく示されている点も興味深い。

上映後、バーナード・チョーリー監督と出演者のひとりで衣装も担当しているダニエル・ヘンリーをゲストにティーチインが行われた。ところで、バーナード・チョーリー監督がマレーシア映画の現状について語ったもの(@国際シンポジウム「東南アジア映画の現在」(2004年))を国際交流基金のサイト(LINK)で読むことができる。

TOHOシネマズ六本木ヒルズは飲食禁止ではない。個人的にはよほどの事情がない限り食べないでほしいと思うが、少なくとも迷惑にならない食べ物を選ぶべきだと思う。隣の人がずっとじゃがりこカレー味(そんなものがあるのかどうか知らないが、音とにおいから推測)を食べていて、気になってしかたがなかった。