実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『電光石火の男 - 赤木圭一郎と日活アクション映画』(末永昭二)

『電光石火の男 - 赤木圭一郎と日活アクション映画』読了。

電光石火の男―赤木圭一郎と日活アクション映画

電光石火の男―赤木圭一郎と日活アクション映画

「新・読前読後:日活アクション映画と貸本文化」(id:kanetaku:20060524)と「黌門客:赤木圭一郎の時代」(id:higonosuke:20060527)で好評だったので買ってみたが、期待したほどではなかった。拳銃無頼帖シリーズと貸本文化との関わりや、原作と台本と完成作品との違いの分析などは興味深い。でもそれだけに、もう少し深堀りができなかったのか、もう少し構成に工夫ができなかったのか、とも思う。

序章にはこうある。

 本書では、赤木圭一郎という映画スターが、メディアでどのように採り上げられ、どのようなイメージを作っていったかを追う。中には、荒唐無稽な話や、後日否定されたエピソードもある。「イメージ」を積み重ねることによって、あの時代が見えてくるのではないか。そして、現在まで続く「伝説」によって、大衆は赤木に何を求めているかがあぶり出しにできるのではないか。…(pp. 7-8)

おもしろそうだ。でも実際に本書がそういう構成になっているかというと、違うように思われる。引用が少なくて著者のことばでまとめられてしまっている点が残念だし、赤木圭一郎を通して日活アクション映画を描くのか、日活アクション映画の中での赤木圭一郎を描くのかがはっきりしない。

私は赤木圭一郎が好きと言いながら実はあまり観ていない。これを機会に観なければと思う。いくつかDVD-Rで持ってはいるが、やはりスクリーンで観たいので、8月からフィルムセンターで始まる「日本映画史横断(1) 日活アクション映画の世界」にかなり期待している。