実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『くノ一忍法』(中島貞夫)[C1964-39]

シネマヴェーラ渋谷の特集「中島貞夫 狂犬の倫理」(公式)で、『くノ一忍法』を観る。

製作年も出演者もチェックしていなかったので、脱げる女優が出る70年代のエロエロ映画だと勝手に思っていた。ところが、実は中島貞夫のデビュー作で、1964年の映画。しかも野川由美子主演のスター映画。したがってそれほどエロエロではなく、わりとふつうの時代劇だった。いや、ふつうじゃないか。

でも、チラシに「股間からピンク色のスモークを出し男たちを悶々とさせる」と書いてあったので(なぜ出演者もチェックしていないのにそこだけ見ている?)、当然ナマの股間から出ると信じて疑わなかったのに(ついでにボカシも兼ねるスグレモノだと思った)、キモノの裾から出るってそりゃあずるいよ。だいいち、それでは股間から出ているどうかわからないじゃないか。

お話は、信濃忍法の使い手の豊臣方くノ一5人と、伊賀忍法の使い手の徳川方忍者5人のエロ忍法対決による、豊臣秀頼の子をめぐる攻防戦。信濃忍者に扮するのは、中原早苗、三島ゆり子、芳村真理金子勝美、葵三津子。伊賀忍者に扮するのは、大木実待田京介山城新伍吉田義夫小沢昭一伊賀忍者のほうが微妙に豪華だし、途中まで互角に相手を倒していくのだが、やはり信濃忍法の見せ場が目立ち、伊賀忍法は精彩を欠く。「わっ、大木実が出てる」と思ったのに、いい子になっちゃってエロいこともしないのでがっかり。

出てくる信濃忍法は、 裸の女たちが見える「幻菩薩」、精気を吸い取られる「露涸らし」(原作では「筒涸らし」らしい)、胎児を別の女性の腹に移動させる「やどかり」など。アイデアというかバカバカしいというか、最初はなかなか感心して観ていたけれど、同じ忍法が繰り返し出てくるので、だんだん衝撃がうすれてくるのは否めない。

秀頼の子を宿すときに使う 「吸い壷の術」 は、詳細は語られなかったけれど、やらないでも確実に妊娠する術のようだ。『我らが愛にゆれる時』[C2008-45]のヒロインは、これを使えばよかったのにね。日本でもこれだけあるのだから(いや、実際にはないと思うけど)、中国四千年の歴史にもぜったいあるよね。

冒頭で陰謀を仕組んだとたんに殺されてしまう真田幸村と猿飛佐助が、成仏する前に上空から一部始終を見届け、いろいろとコメントするという形で物語が進むのがユニーク。

ちなみに「幻菩薩」 で乳を出して踊っているのは、くノ一とは別の専門の人たち。なるほどカラダはいいが、一部顔に問題が。中心にくる人はきれいだけれど、踊っているうちにRテレビのG記者かと見紛うような人が正面に。顔は見ないでカラダだけ見ておれということなんだろうが、こわいものみたさで顔に目が釘付け。