実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『打倒 KNOCK DOWN』(松尾昭典)[C1960-58]

フィルムセンターの特集「逝ける映画人を偲んで 2009-2010」(公式)で、松尾昭典監督の『打倒 KNOCK DOWN』を観る。東宝アクションを観たあとなので、「やっぱり日活アクションはいいなあ」と思ってウキウキした。

趣味でラグビーやボクシングもやっている優秀な大学生、赤木圭一郎が、怪我をして会社で冷遇されている兄の研究費のためにプロボクサーになる話。だんだんボクシングの魅力にもめざめてメキメキと勝ち進むが、やがて勝利の虚しさを知ってボクシングを捨てる。赤木圭一郎の魅力を前面に出しながら、チャンピオンを育てることに執念を燃やすコーチの大坂志郎と、テレビの研究にうちこむ兄、二谷英明が絡んでいく。

とにかく、赤木圭一郎の魅力を満喫する映画。さわやか好青年のトニー、悩めるトニー、相手をノックダウンするトニー、打ちのめされるトニー、苦悩するトニー、いろんなトニーを楽しめるので、もうそれだけで満足。何も言うことはありません。

しかし、赤木圭一郎以外のキャストは相当しょぼい。特に相手役。稲垣美穂子と和田悦子で迷ったあげく稲垣美穂子を取るって、なんなのそれ。稲垣美穂子、調べたら赤木圭一郎よりひとつしか上じゃないけれど、どう見てもおばさん。観ながら何度「オバサンくさいよ」とつぶやいたことか。女はブスでも色気がなくてもちょっとくらいデブでもいいが、オバサンくさいのだけはぜったいにダメだ。もちろん、いくつになっても。

和田悦子のほうは、岡田茉莉子のコピーみたいだった。顔もちょっと似ているが、声がかなり似ていて、話し方はそっくり。でも岡田茉莉子よりブスだから、コピーでは大物にはなれないね。でももちろん、稲垣美穂子よりはよかった。

ところで、赤木圭一郎の設定は工学部電子工学科の学生。二枚目でスポーツ万能な主人公が電子工学科。停学中とはいえ、ボクシングのチャンピオンが電子工学科。前代未聞である。『電子技術』という雑誌も出てきて、中を見たことはないけれど、この表紙デザインの感じは見覚えがあると思ったり。兄の二谷英明もテレビの研究者だけど、怪我で静養中に特許を2件取るなんて無理だと思うぞ(単に出願したということなのかな)。二谷の足を引っ張ろうとする研究者役で佐藤慶が出ていて、異様に暗い雰囲気をかもしだしているのは、ショボいキャストのなかの唯一の光。とにかく、電子工学科あるいはそれに類する学科の学生、卒業生は必見。