実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地争覇(黃飛鴻之三 獅王爭霸)』(徐克)[C1993-66]

同じくシネマート六本木の特集「香港電影天堂SPECIAL」(公式)で、徐克(ツイ・ハーク)監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地争覇』を観る。この特集のラインナップには未見の作品が4本あり、これはその一本。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地争覇 デジタル・リマスター版 [DVD]

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シリーズ三作めの今回は、舞台を北京に移し、父親を訪ねる黃飛鴻(李連杰ジェット・リー)が描かれる。前作がかなりよかったこともあり、パワーダウン感は否めない。これまでは、医者かつ武術家で、若いけれども人々の信望を集めている黃飛鴻が、個人として活躍するというイメージが強く、それが魅力でもあった。しかし今回は、父親の息子としての子供っぽい面を見せたり、家族あるいは父が館主を務める広東会館といった、集団のなかのひとりという側面が強い。十三姨(關之琳/ロザムンド・クワン)とも結婚の約束ができており、すでに尻に敷かれ気味で、こちらもロマンスというより家族的な雰囲気に移行しつつある。アクションにしても、色とりどりの獅子による闘いは絵になるが、李連杰個人の印象は強くない。

また、ロシアの侵略と清朝の凋落が描かれてはいるものの、西太后主催の獅王争覇や、道場間の争いが物語の中心になっていることから、激動の時代を描くといった雰囲気は、前二作に比べて後退している。さらに、北京が舞台で一部実景も登場することから、セット部分の嘘っぽさが気になったりもする。

そんななかで特筆すべきは、くまきんきんこと熊欣欣(ホン・ヤンヤン)演じる鬼脚七である。その壮絶なアクションは李連杰より強い印象を残すし、最初は敵でありながら最後は黃飛鴻に味方する、池部良的キャラクター(顔は論外だが)を演じている点にも注目。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズは、黃飛鴻役を趙文卓(チウ・マンチェク)に替えてこのあとも続く。未見なので断言はできないけれど、この作品でやめておくべきだったと思う。クオリティの低下に加えて李連杰が降板したとなれば、ちょうどいい潮時だったと思うのだが。

ところでDVD上映は、画質も気になったが、一番の問題は字幕が下に出ること。前に人がいるとふつうの姿勢では見えず、かなり辛かった。