実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『昇り竜 鉄火肌』(石井輝男)[C1969-29]

午前中は美容院へ行って午後から出京。シネマヴェーラ渋谷の「石井輝男 怒涛の30本勝負‼」(公式)で『昇り竜 鉄火肌』を観る。

基本的には正統派仁侠映画。「東映がやって流行らせている仁侠映画なるものを、日活もやって儲けたい」という意図でつくられたもの、たぶん。石井輝男仁侠映画創始者のひとりだから別に不思議ではないが、石井輝男っぽいところが二点あった。ひとつは、前半でヒロインが服役し、「実録女子刑務所」状態になるところ。でもたいしてエログロにはならずに終了してがっかり。おばさん女囚のアップとかはある意味グロいが。もうひとつは、有名な刺青昇り竜攻撃のシーン。「殴り込みの際はこの戦略でいきましょう」とか事前に相談して、フォーメーションの研究とかしていたんだろうか。

ふつうにおもしろいが、ヒロインが扇ひろ子という点で不合格。だってブサイクだもん。目当ては小林旭で、彼は『緋牡丹博徒』シリーズの鶴田浩二高倉健菅原文太のような存在。着流しのアキラといえば『関東無宿[C1963-07]。 超渋くてかっこよかったよねえ。というわけで、それに近いものを期待してしまうが、1969年のアキラは太っていた。二重あごだった。なぜかいつも柄物の着物だし、他の出演作のため切れなかったのか髪長いし、浴衣着て散歩している相撲取りみたい。しかも役柄になれておらず、助っ人に登場するたびどこかぎこちない。

やたらとアップの多い映画だったが、アップに耐える顔がなかったのが残念。「なんでアキラのアップを二重あごの側から撮る?」と、ストーリーそっちのけで悶絶するクライマックス。

同時上映はまた『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』だったので観ずに帰る。