実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『四月の雪』

いちいちことわらなきゃいけないというのも妙なことだが、[亠/裴]勇俊(ペ・ヨンジュン)には何の関心もない(動いている彼を見るのはほぼ初めて)。許秦豪(ホ・ジノ)監督の新作がいちはやく観たいだけだ。混雑を避けるために朝イチで観ることにしたが、驚いたことにこの映画には日本語吹き替え版というものが存在する。それっておばあちゃんは字幕が読めないからってことか(超差別発言?)。それとも『冬のソナタ』を吹き替えで見た人が吹き替えで観たがるんだろうか。字幕版の朝イチというのはかなり選択肢が限られてげきいかりだ。9時の回を観ることにして8時半ごろ日比谷に行くと、すでに行列ができていてあせったが、最終的にはけっこうすいていた。しかしロビーは、グッズや手形に群がるのはもちろんのこと、パネルやポスターと一緒に写真を撮るおばさまがたで大混雑。

映画は、主人公の[亠/裴]勇俊と孫芸珍(ソン・イェジン)が外出するたびに、ふたりの関係やふたりを取り巻く状況が変化していくというもの。ふたりが初めて会ってから、お互いに対する認識が少しずつ変化していくさま、そしてその時々の感情のゆれを、台詞による説明や無駄な描写を極力排して、細かく丁寧に描いている。舞台となる病院やモーテルも、決して美しい場所ではないが印象に残る。

ヨン様が主演でもちゃんと許秦豪の映画だったが、別の俳優だったらもっとよかったのではないかと思う。彼の演技がどうこうというのではなく、あまりにもあのうすら笑いを浮かべた顔が世の中に流通しているために、その顔をしていたらいたで、していなかったらいなかったで(眼鏡をとるとえらくブサイクだし)、常に「ヨン様が演じている」という感じがつきまとい、どこかリアリティを欠いている気がする。