実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『コマンダンテ(Comandante)』(Oliver Stone)[C2003-32]

渋谷へ移動して、ユーロスペースで『コマンダンテ』(公式/映画生活/goo映画)を観る。コマンダンテといえば‘Hasta siempre Comandante♪’。チェ・ゲバラかと思ってしまうが、これはフィデル・カストロ(Fidel Castro)を撮ったドキュメンタリー。フィデルの映画なら何をおいても観たいけれど、オリバー・ストーン(Oliver Stone)の映画(しかも本人がインタビュアー)となると何をおいても観たくない。葛藤の末フィデルを取ることにした。もっとも私は、あれこれ観たうえでオリバー・ストーンが嫌いと言っているわけではない。デビューしたときから、どこかいかがわしさを感じて観るのを避けてきたが、『ナチュラル・ボーン・キラーズ[C1994-28]だけは観てしまって、やはり観るんじゃなかったと思った。それだけである。

さて、観るとは決めたものの、ふだんアジア映画情報しかチェックしていないので、気がついたときにはとっくの昔に始まっていた。それを知ったのはいつも拝見している[ハナログ]によってである(ありがとうございます)。そのエントリー、「『コマンダンテ』(2003)は腐女子におすすめ」(id:hanak53:20070628:p2)から、(腐女子ではないが)期待と不安というか、道に外れた興味というか、そのようなものを抱いて出かけたのだが、残念ながら(残念なのか?)そういった気配はそれほど感じられなかった。期待しすぎたのがいけなかったのか、私の感受性が鈍いのか、『侠骨一代』を観たあとだったためなのか、あるいはフィデルがさらりとかわしてしまっているからなのか…。

インタビューの内容はそれなりにおもしろかったが、映画としてはやたら細切れで不安定な映像が苦手だった。『ナチュラル・ボーン・キラーズ』が嫌だったのも、そのあたりが大きな理由。アップがやたらと多いが、私は基本的にアップが嫌いだ。インタビュー映画なのでさすがにロングショットで撮れとは言わないが、画面の中に頭のてっぺんから顎の先までが入っていないようなショットは認めたくない。

フィデル・カストロに関していえば、挿入されている古いニュースフィルムの中の若き日の姿に比べて、今のほうがかっこいいと思った。年とった二枚目俳優を見ると、「年をとるということはこんなにも残酷なことなのか」と思わされることが多いが、彼の場合はいい具合に油がぬけて、格段に渋くなっている。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ[C1999-16](asin:B00005HKJ7)を観てから、「次はキューバだ」と思っていろいろと本などを読んだ。遠さやスペイン語がネックになり、その後すっかりごぶさただが、フィデル・カストロが生きているうちにキューバへ行く夢はまだ捨てていない。残された時間はそう長くはないだろうから、少し優先順位を上げてまた勉強しなければ。分厚い伝記でも買いましょう。