実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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“Yevadu”(Vamsi Paidipally)[C2014-05]

DVDで、Vamsi Paidipally(ヴァムシー・パイディパッリ)監督の“Yevadu”を再見(英語字幕つき)。映画館で観たときの感想はこちら(id:xiaogang:20140115#p2)。

  • 前半は、顔がAllu Arjun(アッル・アルジュン)からRam Charan(ラーム・チャラン)に変わったひとりの男(Satya)の話、後半はRam Charanの顔をもつふたりの男(CharanとSatya)の話。殺された恋人の復讐をしたいという強い思いから一命をとりとめたSatyaが、顔が違うのをうまく利用して復讐を遂げる前半も痛快だし、新しい顔の持ち主だったCharanの遺志を受け継ぎ、顔が同じなのをうまく利用して悪を倒す後半もいい。回想シーンで、Charan率いる抵抗が成功しそうに見えたのに結局殺されてしまうのは、お坊ちゃん育ちらしく冷酷になりきれず、甘さを見せてしまったため、というところもいい。
  • Allu Arjunが整形してRam Charanになるというだけでおもしろいのに、もともとRam Charanの顔をもっていた男を導入して、ふたりのつながりをちゃんとドラマにしているところがすばらしい。Satyaの目的が、殺された恋人の復讐という個人的でネガティブなものから、困っている民衆を助けるという社会的なものへと変わっていくというところもすごくうまくできていると思う。強いヒーローがひとりで悪を倒すのではなく、民衆を目覚めさせ、立ち上がらせるというのも好感がもてる(彼らが目覚める描写は感傷的でベタすぎるけれど)。
  • Charanはちょっと正義漢すぎるし、言うことも正しすぎるし、民衆を啓蒙するのはいささか説教臭いのだけれど、不思議と反発や説教臭さを感じさせない。これがAamir Khanだったら「けっ」となってしまうのだけれど、ちゃらん様の魅力のせいか、俺様度低めのせいか、すんなり受け入れて観ることができる。
  • そんな整形(移植?)できるわけないだろうとか、松竹メロドラマもびっくりのあんな偶然があるわけないだろうとかいうつっこみもあるだろうが、おもしろいからいいじゃないかと思う。
  • アクション映画ではヒロインが添え物っぽくなるのは致し方ないとしても、この映画に限らないが、もう少し女性を魅力的に描けないものか。
  • ちゃらん様もパーで走っていた。