実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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“Lootera”(Vikramaditya Motwane)[C2013-14]

PVR Koramangalaで、Vikramaditya Motwane(ヴィクラマディティヤー・モートーワーニー)監督の“Lootera”(facebook)を観る。ヒンディー語。Ranveer Singh(ランヴィール・シン)、Sonakshi Sinha(ソナークシー・シンハー)主演。

  • インドが独立して変わりつつある時代を背景に、西ベンガルの地主のお嬢様と、その地にやって来たワケあり男との文芸映画風ラブ・ストーリー。ダンスは一切なし。後半に、オー・ヘンリーの『最後の一葉』の翻案が盛り込まれている。煉瓦塀の最後の一葉♪って、これは煉瓦塀じゃなくてもっと難易度高いのだけれど。
  • 映画の舞台は、1953年のWest Bengal(西ベンガル)州Manikpur(マニクプール)と、1954年のHimachal Pradesh(ヒマーチャル・プラデーシュ)州Dalhousie(ダルフージー)。とにかくロケ地がすばらしい。前半のマニクプールのシーンは、Kolkata(コルカタ)、Purulia(プルリヤ)、Khanyanなど、西ベンガルのあちこちで撮影されているらしいが、田園風景の中にあるコロニアルなお屋敷に、英国風のインテリアや車、ラジオなどのモダンなもの、それに純インド風の衣装といった組み合わせがすばらしかった。後半は、細い坂道を利用した追跡劇や銃撃戦など、地形がうまく生かされていたのが印象的(ちょっと『極道黒社会 Rainy Dog』を思い出した)。両者の気候の違いがうまく物語にリンクしているのもいい(インドにも雪が降る)。
  • 台詞よりも映像で語るタイプの作品であり、すべてを言い尽くしてしまわないようなところもわたしの好みに合い、また台詞がわからない者にはありがたかった。ハッピーエンドでも悲劇でもなく、どちらの側面も強調しないような終わり方もいい。
  • Ranveer Singhは、わかりやすいイケメンではないが、ボソボソした声やしゃべり方がわたし好みで、役柄の、知的で陰影のある表情やちょっとミステリアスな雰囲気などとあいまって、セクシーな感じでなかなかいい。ちょっとクラシックな髪型や、Vネックのセーターやハンチングっぽい帽子といった英国風のファッションも、よく似合っていて魅力を盛り上げていた。これがまだ主演三作めということだが、次はいよいよディーピカちゃんと共演だし(“Ram Leela”)、今後に大いに期待したい。
  • Sonakshi Sinhaは、横顔のスチルからもう少し儚げな感じを予想していたら、意外にぷっくりしていて濃い感じなのがちょっと残念だった。でも存在感があり、前半の、さりげなく知性を感じさせる、いい意味でお嬢さんっぽい雰囲気などなかなかよかった。サリーにはあまり興味がないのだけれど、彼女が取っ替え引っ替え着るサリーは上品で美しく、サリーもいいなとちょっと思った。後半は病が重くなるからもう少し儚げになるかなと思ったら、なんだかどす黒くなっていてちょっとがっかりした。でも、彼女も次作の“Once upon a Time in Mumbai Dobaara!”が控えていて楽しみ。
  • 子供向けの要素ゼロの映画だったが、お子様連れの客がたくさんいてうるさかった。左隣は前半は5, 6歳くらいの女の子で、立ち上がって飛び跳ねたりお菓子を散らかしまくったりしていたし、後半はもう少し大きい男の子に変わったと思ったら、ずっとゲームをしていて光がまぶしくて参った。午後のいちばん混みそうな時間かつショッピングセンターの中ということで、家族で出かけて親が子供を巻き添えにして自分の観たい映画を観ている、ということだろうか。