実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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“Raanjhanaa”(Anand L. Rai)[C2013-11]

PVR Koramangalaで、Anand L. Rai(アーナンド・L・ラーイ)監督の“Raanjhanaa”(facebook)を観る。ヒンディー語

  • 主演はDhanush(ダヌーシュ)とSonam Kapoor(ソナム・カプール)。別れ別れになった少年少女が8年後に再会するというお話で、序盤はけっこう軽いタッチなので、最後はくっつくラブコメかと思ったら、中盤からぐっとシリアスな展開になる悲恋ものだった。ハッピーエンドではないボリウッド映画は珍しいのでは。
  • ソナム・カプールは、あまり印度印度していない、どこの国でも誰もが認めるような正統派美女という感じ。すぐに声を出して笑う天真爛漫な少女から、風格すら漂わせるような政治活動家まで、ヒロインの変化を好演していたが、踊るシーンがほとんどなかったのが残念。チェックのスカートの女子高生姿はなんちゃって感ありすぎだったけれど、帰省時に着ているクルタなどもかわいくて、インド服熱がソソられた。
  • ダヌーシュはタミル映画のスターで、これがボリウッド・デビューらしい。色が黒くて西洋風の顔でないのはたしかに南インドっぽいけれど、スリムで身のこなしも軽く、濃いおっさん顔でもないのが新鮮だった(タミル俳優に偏見ありすぎ?)。あまりスターらしくないふつうっぽい感じが、超美少女に献身的につくすという役柄に合っていた。
  • 主な舞台はバナラシ。当然のように存在しているガンジス川のゆったりとした流れと、くねくねした路地のある街並みの対比がいい感じだった。宗教的な意味では興味がなかったけれど、この街はちょっと行ってみたい。ボリウッド映画は、やたらと外国に行ったり景勝地に行ったりして、あまり生活感がないのが好きではないのだけれど、この映画はごちゃごちゃ、生き生きした街の息づかいが感じられてよかった。
  • ロケ地と同様に、チャイやサモサ、街角でよく売られているボール状の揚げたお菓子など、生活感あふれる食べ物が出てくるのもよくて、すごくおなかがすいた。あのお菓子はなんという名前かわからないけれど、涼しくなったら一度食べてみよう。
  • ダヌーシュがガスボンベの配達をしているシーンがあって、たぶん全国共通仕様だと思うけれど、「あー、うちと同じ同じ」とひそかに盛り上がった。いままでは、こんな汚くて邪魔くさいガスボンベがうちの中にあってやだなーと思っていたのだけれど。映画で見ると赤くてかわいいけれど、実際はもっと薄汚れた感じなので、うちに帰って見たらやっぱり邪魔くさいのであった。