TOHOシネマズ六本木ヒルズで、許傳海(シュー・チュアンハイ/シュー・チュワンハイ*)監督の『備えあれば』(東京国際映画祭)を観る。第24回東京国際映画祭のアジアの風部門アジア中東パノラマの一本。
主人公の吳剛(ウー・ガン*)が所有しているゴビ砂漠の金鉱を狙って、三組の怪しげなグループが争奪戦を繰り広げる話。不動産ブローカーの女性三人組の大仰なコメディ演技や、金で買われた美女と主人公の息子の紋切り型っぽい純愛などに閉口して観ていたら、最後にただの教訓話になって激しくがっかりした。集まってくる人たちも、金鉱について所有者がもっていない確実な情報などを持っているのかと思ったら、それもなくて単純すぎる。
お金がすべてという価値観が蔓延している今の中国では、もしかしてこういう教訓も必要とされているのかもしれないが、それにしてももう少しひねってほしい。せっかく砂漠が舞台なのに、それを生かした映像的な魅力もあまり感じられなかった。