実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『柳生一族の陰謀』(深作欣二)[C1978-31]


新文芸坐の特集「最後のドン 追悼・岡田茂 東映黄金時代を作った男(チラシ)で、深作欣二監督の『柳生一族の陰謀』を観る。

柳生一族の陰謀 [DVD]

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以前録画で観て、ぜひともスクリーンで観たいと切望していた作品。やっと観ることができて大満足だ。感想は、前に観たときのもの(id:xiaogang:20071008#p3)と基本的には変わらない。

付け加えるとすれば、 まず、どうしてもスクリーンで観なければならない作品というわけではないと思った(テレビ画面でもかなり堪能できるという意味)。ただしラストだけは別。あのシーンはスクリーンで観られてほんとうによかったと思う。すべては萬屋錦之介のあの台詞のためにある映画である。しかし、最後の台詞はちょっと長かった。ずっと「「夢でござある」まだ? まだ?」と思いながら観ていて、落ち着かなかった。「じらすなよ」って感じです。

それから、60年代以前からのスターの豪華競演はうれしいが、 JACの人たちがうざい。真田広之は、アクションをやめてからはけっこう好きになったのだけれど(『太平記』はわたしが一年間楽しみに観た唯一の大河ドラマである)、この映画では若くて濃くて気持ち悪い。志穂美悦子は昔から苦手だが、女性アクションスターに興味をもつようになった今もやっぱり苦手。千葉ちゃんもすっかりあっち側の人になっていた。

その他の補足。

  • 家光が無事将軍になったときのモノローグで、家光=松方弘樹のギラギラした目つきがよかった。
  • 成田三樹夫=鳥丸少将文麿のなよなよ演技から一転してのかっこいいアクションシーンには今回もしびれた。
  • 冒頭すぐの家光たちを前にしての柳生但馬守宗矩=錦之介の台詞回しは、わかっていてもやっぱりすごい。この映画での重い台詞回しのなかでも最重量級。最初だから気合いが入りまくっているのがビンビン伝わってきて、笑えると同時に酔える。
  • 丹波哲郎の出番が多いのはうれしいが、大分歳を取って目が三角になっている。それに、あのような余裕のないハングリーな役は合わないし、小汚い坊主系ファッションも似合わない。

ところでこのストーリー、柳生一族の陰謀ではなくて柳生宗矩の陰謀だと思うのだけど。