実録 亞細亞とキネマと旅鴉

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『パンダキャンディ(熊猫奶糖)』(彭磊)[C2007-57]

今日は、シネマート六本木で開催されている第3回アジアンクィア映画祭(AQFF2011)(公式)に、最終日にして初めて参加。まずひとつめのプログラムは、彭磊(ポン・レイ)監督の『パンダキャンディ』。

主人公はふたりの女の子。ひとりめのtaki 張は、友人のバンドと一緒に中国国内を旅しながら、行きずりの女の子と寝ている。もうひとりの春樹は、住所不定らしく北京市内を点々としながらいろんな男と寝ている。その相手の男たちがあまりにひどいので、春樹は女の子に走ってtakiと結ばれる、というお話。明確にそういうつもりなのか確信はもてないけれど、男性を貶める意図があるとしか思えないほど、この男たちはひどい。takiが出会う女の子たちは、実際に各地で見つけた子に自分のことを語ってもらったりしているらしくドキュメンタリーっぽく、どんどん移動していくので相手の女の子もちょっとずつしか出てこない。一方、春樹は北京の中をぐるぐる回っており、同じ男と何回も会う。

春樹のほうは作家だということだが、スチルではブスっぽいけれど、ちょっとつみきみほみたいでけっこうかわいかった。それだけに、ヘンな男と会うたびに「え?その男と寝るの?え?その汚そうなベッドに入るの?」とかいちいち思ってしまう。taki 張のほうはかわいい系の女の子でちょっと苦手。

素人っぽい映画だと思ったが、監督の彭磊は新褲子というバンドの人らしい。その方面には詳しくないので、名前を聞いたことがあるという程度でよく知らない。画面を縦にしてみたり、文字を重ねてみたり、いろんなことをしているが、観ていて「別にそんなことしなくていいから」と思ってしまう。主要な登場人物はだれも定職について毎日働いたりしていないので、おそらく中国でも増えていると思われる、学校を出てぶらぶらしている若者たちを描いたものなのだろう。そういう世代の気分みたいなものはそこはかとなく感じられる。

これを観たのは、タイトルと、パンダのぬいぐるみが写っているスチルが理由。パンダキャンディというのは、熊猫奶糖というパンダの包み紙のミルクキャンディ。冒頭で写るが、物語の中には出てこなかったと思う。takiのほうがパンダ好きの女の子という設定らしく、パンダのTシャツを着ていたり、途中で知りあった女の子にもらったパンダのぬいぐるみをもっていたりするパンダ映画。そのパンダのぬいぐるみであんなことをしてしまうのはびっくりだが、ぬいぐるみの動きだけで見せてしまうところは、そのときのパンダの顔に哀愁が感じられてなかなか興味深かった。